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映画と好きな本の感想など

【ネタバレあり】『舞台 血界戦線』@天王洲 銀河劇場を見てきました

いやはや、見てきましたよ『舞台 血界戦線』!!!!

私と血界の距離感としては、まず内藤先生の関わったガングレイヴという作品が私の心の核心の部分を支えており、その内藤先生が描いたトライガントライガンマキシマムを信仰し、内藤先生のライフワークとなるかもしれないこの血界戦線を季刊のジャンプスクエアライズで追いかけて、単行本を買い、アニメ1期の素晴らしい出来に感激し、アニメ2期も鑑賞した、といった感じです。一番好きなキャラはザップ・レンフロになります。

以下、多少ネタバレしながら簡単に感想を書きます。

 

 

 

 

正直なところ、私は血ステと真正面から向き合うのが怖くて日和ったあげく見切れ席をようやく買えたという形だったのですが、見切れ席ながらも舞台全景はしっかりと見えて、客席を使った演出も上から見ることができ、ある程度舞台から距離もあり(?)、楽しく観劇することができました。いやー怖くて緊張した。私の心の均衡は保たれました。

 

この舞台は

  1. 後ろにビッグバンドが控えていること
  2. 「ハロー、ミシェーラ。これが僕の仲間です」

の2点でまとめられていました。

 

舞台奥にビッグバンド、というかサックス、ピアノ、ウッドベース、ドラムスの方がいて演奏しているんですよ。舞台で使われているBGMもビッグバンド風の曲ですが、この「音楽」は演出として多大な意味をこの舞台に与えていました。

はじめはアニメの音楽を使用できないことから発想したのかもしれませんが、「演奏されている生の音楽」がそこにあるというのは、もはや演出です。ヘルサレムズロットに流れ続ける日常を演奏される「音楽」とするならば、ライブラに所属する彼らが出会う事件は、その日常に休符を打つようなもの、そしてひといきのブレスを入れるようなものだということです。

印象的だったのがザップと寝ていた女性が魔術で大変な目に遭って観客の視線の外側へ行ったあとに、舞台からハケずにピアノの前に行って演奏し始めたあたりです。ああ素晴らしき日常。

最後のカーテンコールでも観客の拍手が手拍子に変わり演者さんたちと共にビッグバンドの演奏に手拍子を送るようになった瞬間、この舞台はショウでもあったことが分かり、観客もその瞬間はヘルサレムズロットに暮らす者たちとなったことが感じられて感動しましたね。

 

そして「仲間」。1幕でライブラ主要メンバーを紹介していく構成にして、2幕で妖眼幻視行をやったわけですが、はじめはレオくんはライブラメンバーがつながっている血の紐の外側にいたわけですが、妖眼幻視行で本当の意味で「仲間」としてミシェーラに紹介できるようになる、といった形でした。

このあたり、アニメはアニメ、漫画は漫画、舞台は舞台のような感じがしなくもないですね。うまく言えませんが……。

 

さて私の大好きなザップ・レンフロですが、コメディリリーフとしておいしすぎました。最高でした。特にネコ探しで客席と絡むアドリブ感高めのところは会場じゅう笑いに包まれました。気楽に見られて、本当に良かった……(シリアスな悲劇も好きですが)。

 

あとこれだけは書いておきたいのが、「「演者さんのキャラクターへの寄せ方がエグいほど徹底している」」ことです。レオくんもクラウスさんもまずとにかく声がアニメにかなり寄せてあって驚きました。声がすごいんですよね。アニメかっ!!!

まあ原作を漫画版(あえてこの言い方をします)としているわりにはアニメにもかなり寄せてありますし、レオナルド・ウォッチが主人公をしているし(アニメ版だ……)、アニメで増えたファンにもだいぶ目配せしていますね。そこで漫画版の良さ、舞台版の独自性を入れてきた感じでした。

 

痛感するのは、私はアニメ版のキャラクター、漫画版のキャラクターに対して解像度がかなり低かったということです。内藤先生は最大限のリスペクトを込めてB5というファンブックに漫画版とアニメ版のレオ&ザップが出会う漫画を描き下ろしています。その漫画を見ているにもかかわらず、未だに私はレオくんたちへの解像度を高めることをしていなかった…と改めて舞台版で思わされました。

キャラクターなんて多面的な存在であって当たり前で、特にユニバースが生まれることを志向している血界戦線という作品ならば、それぞれの作り手がキャラクターをどのように木や石の素材から彫りだして彫刻(キャラクター)にするかも見どころの一つになります。

それぞれの解像度を高めていって、私のかんがえたさいきょうのけっかいせんせん創作、してぇなぁ…してぇよぉ…

 

まあそんなわけですが良い観劇体験でした。

クラウスさんのセリフである、「絶望的な負い目が己を支える礎となり 痛切極まる悔恨が不退転の爪となるなら 今の君を作ったのは あの日の挫折だ」には毎回毎回ガン泣きします。こう、心の柔らかいところを刺激して前へと進む力を与えてくれるような名セリフですよ。

クラウスさんは本当に背中がカッコよかったです。それにあの小難しいセリフ群をよくもあんなにスラスラと……すごい(当たり前っちゃ当たり前ですが)。

 

 

最近心が揺り動かされることが多くて一時たりとも落ち着いていることがないのですが、私の感受性が加齢の影響でどっかにいったわけではないようで安心もしています。このまま舞台にハマったらどうしましょうか……。